残業代請求についてよくあるご質問

退職代行を利用して即日退職することは本当に可能ですか?

会社との間で、即日退職について合意を得られた場合は可能です。
ただし会社には、即日退職に応じる法的な義務などはありません。

会社に即日退職を断られた場合は、退職日まで残っている有給休暇をすべて消化する、もしくは欠勤扱いにしてもらう方法が考えられます。
そうすることで、退職日まで出社しない、つまり即日退職に近い状況を作り出すこと可能です。

試用期間中でも、退職代行を利用することはできますか?

利用できます。民法では、退職の意思を伝えてから最短2週間で退職できる(※)と定められています。
試用期間中であっても、すでに法的な労働契約は成立しているため、上記のとおり退職の意思を伝えれば、会社側にこれを阻止する権利はありません。

「入社してすぐだから、言い出しづらい…」、「求人内容と実際の業務が全然違う…」といった理由でも、退職代行を利用すれば、上司や同僚と顔を合わせることなく、スムーズに退職手続を進めることが可能です。

※正社員など、期間の定めがない雇用契約の場合。期間の定めがある契約社員などの場合も、やむを得ない理由があれば、ただちに契約解除が可能。

残業代は、いつまで遡って請求することができますか?

労働基準法では、未払い分の賃金について、時効により3年で消滅すると規定しています。ここでいう「賃金」とは、労働の対償として支払われるものすべてをいいますので、残業代も含まれることになります。そのため、残業代も請求できるようになってから3年経過すれば、時効で消滅することになります。

ただ、例外的に3年以上前の分について請求できる場合があります。たとえば、時効が更新された場合には、更新の時からさらに3年経たなければ時効にはかからないので、それ以上前の分でも請求できることになります。
時効が更新したとされるのは、時効の期間が経過するよりも前に、労働者が裁判などで未払い残業代を請求した場合や、使用者が支払義務のあることを認めた場合などです。

また、時効の期間を経過していても、使用者が時効を利用できない場合もあります。これは、時効の期間が過ぎたあとに使用者が支払義務を認めたような場合で、一度、支払義務を認めてしまうと、その後に「やはり時効だから支払わない」とは言えなくなるのです。

飲食業では残業代は出ないのが当たり前だと言われました。本当でしょうか?

飲食業であっても、所定労働時間を超えて働いた場合には、その分の賃金を請求する権利があります。飲食業だからといってただちに残業代を請求できないということはありません。そのため、残業時間と時間給から残業代を計算し、使用者に支払いを請求することができます。

また、飲食業に関しては現在「名ばかり管理職」が問題となっています。
労働基準法では、管理監督者には残業代を支払う必要がないと定められています。そのため、飲食店の店長などはこの管理監督者にあたるとして、残業代は発生しないというのが使用者側の言い分です。

しかし、単に「店長」という肩書を与えればそのすべてが管理監督者として認められるわけではありません。
店長であっても、企業経営に関与する度合いが低く、職務内容や権限、待遇、出退勤時間を自由に決められるか、などからみて一般の労働者と変わらないようであれば、管理監督者とはいえないと考えられています。このような場合であれば、店長であっても使用者に残業代を請求することができます。

\あなたに支払われるべき未払い残業代は?/

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勤務した時間を手帳に書き込んだメモしか資料がありません。それでも残業代請求の証拠に使えますか?

未払い残業代を請求する際は、タイムカードなどの客観性の高い証拠があるのが望ましいことはもちろんです。
しかし、勤務時間を書き込んだメモに価値がないかといえばそんなことはありません。メモを根拠に残業時間を算定することができますし、メモであっても十分証拠として利用できます。

ただ、本人が自由に書けるものであるという点は否定できないので、タイムカードのような客観性の高い証拠に比べて価値が劣ることは事実です。使用者側がメモは信用できないとして争ってきた場合には、メモ以外のさまざまな資料(たとえばGPS記録など)からメモの記載を裏付けていく必要があるでしょう。メモの記載がどのくらい認められるかはその裏付け作業がどの程度うまくいくかという点にもかかってきます。

また、どの程度の証拠が必要となるかについては、残業代を請求する手段によって異なります。
通常は任意交渉、労働審判、訴訟の順でより厳格な立証活動が必要となってきますので、手持ちの証拠に合わせて手段を選択していくことも重要です。

タイムカードで勤務実績を管理していました。弁護士に依頼すれば、会社からそのタイムカードの開示を受けられますか?

弁護士に依頼することで、タイムカードの開示を請求することはできます。

タイムカードは、残業時間の算定に関して強力な証拠となるので、タイムカードが存在しているならぜひとも入手したいところです。未払い残業代を請求したいのに、手元にタイムカードがない場合には、使用者(会社側)に対してタイムカードの開示を請求してくことになります。

その場合、まずは弁護士から開示を請求します。この段階で使用者が応じてくれれば問題はありません。
また、弁護士からの請求に対して開示を拒んできた場合でも、さまざまな方法でタイムカードの開示をするよう働きかけることができます。

たとえば、民事訴訟などの法的手続を利用し、そのなかでタイムカードの開示を請求していく方法があります。
裁判官などがタイムカードの提出を使用者側に指示してくれれば、使用者側も従わざるを得ない場合が多いでしょう。さらに、タイムカードを提出するよう、裁判所から使用者側に正式な命令をするように請求することもできます。
また、裁判を起こす前でも、使用者側がタイムカードを改ざんしたり破棄したりするおそれがあれば、裁判所において証拠保全の手続をすることも考えられます。

未払い残業代の請求を行う場合、一般的に労働者側の証拠がそろいづらいケースが多いのですが、このように、弁護士に依頼することで、訴訟などさまざまな手続を通じて使用者側に証拠の開示を求めることが可能となります。

会社から「うちはみなし残業制だから残業代は支払わない」と言われてしまいました。この場合、残業代は請求できないのでしょうか?

みなし残業制だからといって、それだけで「残業代が請求できない」ということにはなりません。

みなし残業制とは、実際の残業時間にかかわらず、定額で残業代を支払っていることを意味する制度です。
労働者と会社との間での合意ができており、通常の賃金部分と残業代などの手当部分が明確に区別されているなど、一定の条件を満たしているのであれば、残業代を定額の手当として支給することに問題はありません。

また、この制度では、所定の残業時間をあらかじめ想定して手当を支払うことになるので、仮に残業をしなかったとしても定額の手当を受け取ることができます。

みなし残業制については、特に法律の規定があるわけではないので、この制度を採用したからといって本来支払うべき残業代のカットが認められるわけではありません。そのため、残業時間が想定よりも長くなり、手当として定められた金額以上の残業代が発生した場合は、残業代を請求することができます。

なお、未払い残業代の請求を行う際には、タイムカードなど、残業をしていた事実を証明する証拠が必要となりますので、あらかじめコピーするなどして証拠を集めておくことをおすすめします。

会社から「固定制の営業手当(残業代)を支払っているから残業代は支払わない」と言われました。この場合、残業代は請求できないのでしょうか?

通常の残業代の代わりに、固定制の残業代が支払われている場合、このような手当のことを「みなし残業手当」といいます。
本来ならば、時間外労働時間や深夜労働時間に応じた割増賃金が支払われなければなりませんが、これを固定制としてあらかじめ給与に組み込むのがみなし残業手当です。

このみなし残業手当が、実際に働いた時間の割増賃金に足りているのであれば問題ありませんが、不足する場合は、その不足分を支払わなければなりません。ですので、「みなし残業手当があるから残業代は請求できない」ということはありません。

今回のケースでも、計算された時間外労働賃金が、営業手当を上回っている場合には、その上回っている分について請求していくことができます。

ただし、「支払わない」と主張している会社とご自身で話合いを続けても、交渉は進展しないでしょう。そのため、弁護士に会社への請求と交渉を依頼することをおすすめします。

どのような資料であれば、残業したことを証明できるのでしょうか?

一般的には、タイムカードや業務日報といった資料が残業の証明となります。

ただし、労働事件において証拠となるものには、特に制限がありません。
たとえば、以下のようなものも場合によっては証拠となり得ます。

・日記やスケジュール帳
・会社で使っているパソコンのログイン、ログアウト情報
・自分で書いたメモ(仕事の時間帯や移動方法、仕事で行った場所、仕事の内容など)
・FAXの送信履歴
・会社から家への「帰るよ」というメールの送信履歴

とはいえ、やはりタイムカードや業務日報といった勤怠管理資料があったほうが、請求はスムーズに進みます。「資料が手元にない…」という方でも、弁護士に依頼すれば、裁判所を通じて会社側に資料の開示を求めることもできますので、まずはお気軽にご相談ください。

会社に勤務したまま未払いの残業代を請求したいのですが、問題はありますか?

残業代請求権は法律で認められた正当な権利なので、行使することに法的な問題はありませんが、会社側の対応によっては、あなたと会社との関係に影響が出る可能性もあります。

会社での勤務を継続したまま未払いの残業代を請求すると、「みんな当たり前にサービス残業をやっているのに、Aさんは残業代なんか請求して、まったくけしからんやつだ」などと不満に思う上司がいるかもしれません。
このような内部の人間関係はもちろん、たとえば「残業代を請求するのであれば残業は禁止」とされ業務に支障が出たり、残業が不要な部署へ異動させられたりするなど、会社の処遇が変わってくる可能性もあります。

しかし、「会社との関係悪化」を危惧するあまり、「残業代請求権」という正当な権利を行使する機会が奪われるのは、好ましくありません。
もっとも、在職中の残業代請求には上記のようなリスクが生じることは否定できないため、弁護士と相談しながら、できる限り会社との関係を維持し、就業状況に悪影響が生じないよう慎重に請求することをおすすめします。

まずはお気軽にご相談ください。

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